Ｑ二世代でグッピーをされているんですね。

そうなんです。もともとは両親が昼は喫茶店、夜はスナックをしていたんですが、体調不良を機に昼だけになりまして。僕は僕で、長年大阪の梅田周辺で洋食・イタリアン・フレンチを学んでいて。東京や京都でも働いていましたね。昔からいつかグッピーに戻るイメージはあったので、８年前に両親と「お店をシェアできたら相乗効果になるのでは。」と始めたんです。

Ｑ色んなところで働いてこられたんですね。

料理というものが分からず、高校を出てすぐに働きに出たんです。３年くらいしたら戻って喫茶店したらいいかと思っていたら、そんな甘い世界じゃなくて。20年以上外で働きましたね。

Ｑすごい経験ですね。街場でずっと働いてこられたとのことですが、こことは少し違いますよね。ここに来て大変だったことなどはありますか？

色んなことをしてきたから、ここに来たときもこの地域に合うものを考えられましたね。お店自体の造りは喫茶店だから、和洋折衷のダイニングのような形はどうかとか。特にカプレーゼやカルパッチョなどカタカナを使ったメニューが分かりづらかったみたいで…。地域の特性や需要を取り入れながら今の形になっていった感じですね。
やはり地元で飲んでもらいたいと思います。

Ｑ昔はこのあたりはどんな感じだったんでしょう？

学生時代は、服部川駅前にはもっと店があったんですよ。パン屋、カメラ屋、本屋、散髪屋、飲食店、薬屋、スーパーまで。あの賑やかな景色が今も頭にあります。また昔みたいにいろんな店ができたら嬉しいし、復活させたいとも思いますね。一人では出来ないですが、移住だったり人が来てくれたりしたらいいなと。

Ｑご両親も長年お店をされておられますしね。

街場で働いていた僕としても誇れるくらい、本当にすごいなと思います。
前日と重ならないように、毎日日替わりメニューを考えて新しいものを作り出しているし、材料もいいものを選んでいるなと。
地域の方に喜んでもらえるなら…という人なので。街が縮小していく中、夜に店の灯りを消すとあの辺りは真っ暗になってしまうんです。それを見ていて、僕はまちに携わっていきたいと思いました。
残り人生の半分くらいですが、店の灯りだけでもつけていきたいと。
今まで続けてこれたのはこの思いが強いですね。原点です。

Ｑ実は、お住まいは高安地域ではないんですね。

そうなんです。実家はここなんですが、僕の住所は服部川にはなくて。なので、まちづくり協議会などの活動が唯一自分が携われることだと思っています。「ここでお父ちゃん頑張ってんで」と言えるように、高安で何か自分が生きた証をなんらかの形で残せたらと。そんな気持ちでいます。

Ｑ地域の魅力って何でしょう？

やっぱり自然があるところでしょう。ずっと街で働いていたので、こういうところが落ち着きます。
街場には街場の良さがあるけど、自分の生まれ育ったところだというのもあるし、自然があったり星が綺麗に見えたり。「よし、また頑張ろう」って思いますね。東京や京都の宇治など色んなところで働きましたけどね、やっぱり大阪がいいし八尾がいいし、やまねきの地域がいいですね。離れて改めて思います。正直、ここに住んでいないことを受け入れてもらえるのかなという不安もあったんですが、こういう経緯も知ってくれて、みんなが地域の活動に誘ってくれたんです。嬉しかったですね。そういった人のあたたかさも魅力ですね。まちづくり協議会の活動でも、地域の方々がお互いの強みを生かしてやってきているのが素晴らしいと思っています。

Ｑお気に入りの場所はありますか？

玉祖神社、信貴山口駅前など色々あるんですが、服部川第二公園と総池のあたりが好きです。桜の季節はまた綺麗ですよ。祭りもこの地域の代表的なものですね。９地区あってそれぞれに太鼓を持っています。坂道もある中、全員で担いで回るんです。伝統や文化が残っていますね。

Ｑこれから高安地域はどうなっていってほしいと思いますか？

子ども達が安心して暮らせる地域であってほしいなぁと思います。安心して仕事につけて、安心して子育てができる環境ってとても大切だと思っていて…「安心」がキーワードだと思います。この地域は顔なじみが多く、ちょっと片栗粉やお醤油を借りるようなお互い様や、野菜などのお裾分けの文化もあるし。小さなエリアだからこそのセーフティーネットがあるんですね。それが続いてくれたらと。

インタビューを終えて…

幼少期から服部川駅前で過ごされてきた飯田さん。時代とともに移り変わる景色を見ながら、また賑わう服部川駅前を見たいとの想いに心打たれました。何か一緒に考えていけたらと思います！ありがとうございました。

vol. 7 喫茶店グッピー