Ｑいつもお世話になっております！お仕事場所にお邪魔させていただいているのですが、改めて高安地域での関わりを教えていただけますか？

関わりは、生まれも育ちも高安で、今はここ明香園(めいこうえん)ですね。造園業をしています。山畑の母屋に緑園という会社がありまして、僕の父が昭和38年に明香園を創業しました。もともと僕の祖父が大正15年から植木づくりをはじめて、祖父の長男である(故)叔父が緑園、次男である私の父が明香園を立ち上げたのが始まりです。

Ｑおじいさまの代から長い歴史があるんですね。造園業は高安地域一帯の地場産業だと伺っています。

そうですね！その当時は、造園組合というものがあって100社くらい登録していました。登録していないところも含めたら200近くはあったんじゃないでしょうか。石を投げたら当たるんじゃないかと思う数ですね(笑)

Ｑすごい数ですね！それだけ産業が盛んだったんですね。

そうですね、僕が20歳過ぎの頃に10年間植木市を主催していまして。緑園、明香園、そして服部川にあるもう１社が、３社市元で、ここらの植木屋さん向けに業者売のセリ市場をしていました。３社の２代目達がちょうど同世代で、北は千葉や埼玉、南は福岡や鹿児島から名物植木を受け入れていましたね。市の開催前1週間かけて準備するんです。

Ｑすごい数の植木が集まっていたんですね。

そうですよ。外環沿いにカルビの王様があるでしょう？あの敷地とその裏の敷地も含めた場所でしていました。あの広さにずらーっと並べて、1日でほぼ売り切るんです。その振り子をよくしていましたね。特に1月の初市だったら酒樽をおいて鏡割りから始まるので、風物詩にもなっていました。大変でしたが楽しかった思い出です。大阪府内からお客さんが来られて、有名でしたよ。

Ｑそれだけ植木やその業界が賑わっていたんですね。特に記憶に残っていることはありますか？

ちょうど24.5歳の頃に大阪で鶴見花博があって、国際庭園エリアのトルコ共和国の庭園を担当することになったんです。現場監督をさせてもらって、トルコの植木が送られてきて日本で調達するものと織り交ぜて作っていくんです。当時の皇太子様やトルコ大使館の大使も来られて、とても気に入ってくださって。なんとトルコの首都アンカラとイスタンブールにある首相官邸の敷地内に日本庭園を作ることになりまして。トルコにも実際に招待してもらって現場調査して、帰ってきて見積もりや設計して…って。小さな会社がそんな大きな話になってびっくりしましたよ。ただ、これにはちゃんとオチがあってね。当時湾岸戦争が始まってしまって、すべて無くなっちゃったんですよ(笑) すごいスケールの話でびっくりしました！無くなってしまったのは残念ですが、それだけ注目を浴びていた地場産業だったんですね。

vol. ９明香園