Ｑどうして転職を？

もともと自然が好きなのと、家庭菜園もしていたことはあったんです。長年アパレルで働いていて、シーズン物を期間のうちにたくさん売るばかりの生活に悶々としてきていて。そんな時、豪雨被害にあった地区へボランティアへ行く機会がありました。田んぼも畑もすべてが茶色で、緑や自然の大切さを思い知りました。それをきっかけに、農業を学ぶことに決めて…。学びだすと面白くて、魅力的で！ちょうどその頃に会社から早期退職者の募集があったので、すぐに手を挙げて転職することに決めました。

Ｑ農業を学んですぐに高安に？

いえ、地元や高安の畑には繋がりもなくて、農業を学んだはいいけどできる場所がなかったんですね。あるご縁から羽曳野の畑でお世話になることになって、その羽曳野の畑でお会いしたのが私を高安へ繋いでくださった内山さんです。内山さんの紹介で高安でも畑を借りられるようになり、今に至ります。

Ｑどんな栽培方法をされているのですか？

農業と聞いて一般的に思い浮かぶのは農薬も使う慣行農業だと思うのですが…。私達がしているものは違います。
農薬や化学肥料を使わずに、土作りから拘って自然にやさしい栽培方法をしています。土から作るのはとても大変ですが、私を繋いでくださった内山さんが実践されています。今、この地区にはほぼないのですが、内山さんと一緒に広げていきたい取り組みですね。

Ｑ高安はどんな地域ですか？

畑を借りても、私を知ってもらえるまでは、色々大変でした。初めは地主さんに認めてもらおうと必死に頑張りましたね。地主さんや地域の方々って畑のことを本当によく見ているんです。その分、一生懸命している姿もちゃんと見てくれていて、今では差し入れを頂いたり、毎日誰かしら声をかけてくださったり。こんなに声をかけてくれる地域は珍しいんじゃないかな。地域内へ入るまでは繋がりが必要だったり少しハードルはありますが、入ってみるととても人情味がある地域だと思います。

Ｑ高安地域の魅力は？

自然に触れられることですね。私はそれがとても好きなんです。山も近いし、広い畑もあって。そして都会にも近い。それはとても感じます。飲食店もたくさんあるし住宅もあるので、畑で大切に育てた野菜を卸せたり地域の方へ販売できたり。顔が見える相手に新鮮な野菜を届けるというのは、私の中にずっとあるものなので。自宅の近くで畑を持てる環境というのは、移動時間や金銭面を考えてもとても有難いですね。

Ｑ高安で農業をする上で恵まれていることと難しいことは？

恵まれていることは、花卉農家さんや河内木綿などの野菜以外の方とも繋がる事ができるですね。逆に難しいことは、兼業農家さんが多く、生業でやられている野菜農家さんがほとんどいないことでしょうか。先輩専業農家さんがいないのは少し寂しいです。

Ｑこれからどうなってほしい？

やっぱりもっと高安地域に農業をしたい方、特に同世代や若い方には来て欲しいですね。それぞれに支え合えたり、協力したり出来ると思うんです。新しく来られる方がいたら、是非一緒に頑張りたいですね。

インタビューを終えて…

農業をされている方ならではのリアルを聞くことができました。どこにいても課題はあるものですが、そこを突破された方々が先にいることは、これから入って来られる方にとっても心強いのではないでしょうか。そして、これからの活動を通して、八尾廃校SATODUKURI BASEが高安地域への新たな入り口の1つになればと思いました。

さて、次回は、高安地区に4世代でお住まいのママさんへお話を伺います！幼少期からこの地で育ち、今は子育てに奮闘するママさん。時と共に変わっていく景色をどう見ているのか。家族で過ごすこの地域の魅力とは。
お楽しみに♪

2021.10

vol:3【樋富さん】