Ｑすごい歴史があるお宮なんですね。まずは、玉祖神社の歴史を少し教えていただけますか？

そうですね、長いです。 1700年前に玉祖連(たまのおやむらじ)一族が移り住み繁栄してきたことから、和銅3年 (710年)9月10日に、周防国(すおうこく、今の山口県)からこの土地を守るよう神祭を迎えたのがこの神社のはじまりです。

Ｑ1700年もの間、一族でここを守ってこられたんですね。宮司は何代目になられるのですか？

僕は105代目ですね。ここは2度落雷と火事で消失して、現在の本殿は300年前に建て変わっているとされています。

Ｑ昔はどのような土地だったのでしょうか？

江戸後期は花卉栽培が盛んになり、ここら一体は山は椿、枝桃、菊や花だらけだったようです。棚田もあったと聞いています。その時代より前は、スイカ栽培や河内木綿が盛んだったそうですね。最近では畑が多いですね。田んぼは少なくなってしまいましたね。

Ｑ長年に渡りここから地域を見守ってこられたと思うのですが、地域との関わりはどのようなものがあるでしょうか？

町並みはずっと変わらないですね。この辺りで特有のものと言えば、宮座講でしょうか。一般的には千渡講とも言います。神立地区135軒あるのですが、５区に分かれていて、毎年2月28日には役に回ってきたお宅で、玉祖神社の掛け軸、蝋燭、剣先するめ、一枡餅米を祀って、その家で飲み食いして1年の無病息災を祈るんですよ。最近では簡素化されたり、コロナ前は旅行へ行くこともありました。形式は変わっても、今も続いている文化ですね。

Ｑ宮座講ですか、初めて聞きました。
このお宮を中心に様々な行事もあると聞いていますが。

冬はとんどでしょうね。朝6時に神事をしたあと、点火。大きな火柱があがり、小正月の風物詩ですね。昔はどこも釜でご飯を炊いていたので、とんどの燃え木を持って帰ってご飯を炊いて無病息災を祈ったんですよ。
2月は節分の湯立(ゆだて)ですね。今は出来ていないのですが、大釜に湯を炊いて玉串に見立てた枝葉で湯を撒くんです。そのしぶきを浴びて、無病息災や五穀豊穣をお祈りします。
6月は梅雨で、昔は流行り病が多かった時期なんですね。そこで、すすきで作った茅の輪(ちのわ)をくくって身を清め、心身の健康を祈ったと言われています。茅の輪は今も梅雨時期になると作ります。
その他にも、夏祭り、秋祭り、焚き火能、四季折々の行事がありますね。

Ｑ行事ひとつひとつに意味があって、四季を感じられる中心という感じがしますね。宮司さんから見た高安の魅力ってどうでしょう？

まず、景色がいい。天気のいい日は、四国や明石海峡大橋、丹波篠山まで見えるんですよ。そして、常に空気が流れていて気持ちがいいですね。境内に絶えず風が流れているところがあって、パワースポットになっています。大きく手を広げると、力を頂けますよ。奥には、お滝さんもあって、僕も数年前まで大事な神事の前などには打たれていました。

Ｑ外にある木は、楠木ですか？とても大きくて玉祖神社の象徴的なものの1つだと思うのですが。

樹齢1300年と言われていますね。大きくてね、本当に立派ですよ。

Ｑ高安のこれからはどうなっていって欲しいですか？

そうですね、このままがいいですね。自然があって、空気が流れていて、穏やかです。あ、子ども達の声がもう少し聞けたら嬉しいですね。高齢者が多くなってしまいましたが、若い方々にもここにとどまって頂きたいですね。

インタビューを終えて…

今回は代々玉祖神社を守ってこられた宮司さんにお話を聞くことができました。神立地区の長い歴史や特有の文化、お宮のすぐそばだからこそ味わえる四季折々の物語がありました。高齢化が進む高安地区ですが、若い方々にも来てもらって、素敵な景色と文化をこれからも継承していきたいものですね。

高安地区で商いをされている方へインタビューします！暮らしの楽しみを支える飲食店へ伺います。

お楽しみに♪

2022.02

vol. 6 玉祖神社 宮司さん

vol. 6 玉祖神社　宮司さん